ドリーム小説
聖なる夜に
クリスマス――。
それは恋人たちが共に過ごす聖なる日――。
聖なる夜に 長編「優しい瞳」現代パラレル
朝から降り続いていた雪は夜になってもやむ気配は見えず、音もなく降り続いている。
は先ほどからずっと外を眺めている。窓を開けて見ているため時々冷たい風が吹き込んでくるが、はそれを気にすることなくただしんしん、と降り続ける雪を見ていた。
六合がの家を訪れてからほとんどの時間、そうして外を眺め続けているのだ。
リビングのソファーに腰を下ろして本を読んでいた六合は、ふとのほうに目線を向けた。先ほどと変わらず、雪の降り積もっていく様子をずっと眺めている。
その様子を黙って見ていた六合だったが、このままほうっておけばいつまでもそうしていそうな気がしてならなかった。体の弱いがこのまま冷たい風に吹かれていたら、確実に体調を崩すのはわかっている。
「……」
その場から六合は名を呼んでみるものの、からの返事はない。
六合は一つため息を吐くと今まで読んでいた本をパタン、と閉じて机の上においた。そっ、と音もなく立ち上がるとの傍まで歩いていった。
静かに外を眺めていたの真横からすっ、と腕が伸びてきた。どうやら窓を閉めようとしているようだ。それを見たは慌ててその腕を掴んだ。
「待って、彩W――」
の言葉に六合は手をぴたりと止めた。そのままの状態で六合はわずかに眉を顰めてを見つめた。
「、風邪を引くぞ……」
「わかっていますわ。わかっていますけど、もう少しだけ……」
後に続くはずの言葉はあえて口には出さずに、は上目遣いに六合を見つめた。懇願するようにに見つめられた六合は思わずたじろいだ。
わずかに考え込んだ後、六合は諦めたようにため息を吐いた。
「後少しだけならな……」
「ありがとう」
六合の了解を得たは嬉しそうに微笑んだ。あまりに嬉しそうな顔をされると六合は何だか複雑な気分になった。
また先ほどと同じように外を眺めているの背後に回り、これ以上体を冷やさないようにとそっ、と優しく抱きしめた。突然背後に暖かさを感じて少し驚いたが、自分を気遣う六合の優しさには穏やかな笑みを浮かべた。
そして自分を抱きしめている六合の腕をぎゅっ、と掴み、安堵したような声で呟いた。
「暖かい……」
窓からは暖かな光があちらこちらに見え、雪と混じりあって幻想的な世界を作り出していた――。

というわけでクリスマス企画作品「聖なる夜に」をお届けです。
なぜこういった内容になったかと言いますと、唐突に思いついたネタが長編「優しい瞳」の現代パラレル版だったのです。
せっかくなので二人だけの世界を書いてみようかな〜と思い、生まれたのがこの作品でした。
でも実のところは六合に背後から抱きしめられたいがために書いた作品でもあるのです。
すみませんっ!!私の趣味です。趣味というより願望(?)のほうに近いかもしれません……。(笑)
↓にあるおまけもお楽しみ(?)くださいね。
それでは駄作ではありますが、皆様にクリスマスプレゼントとしてお贈りいたします。
2004.12.13 「彩月華」管理人 水原 琳
*前サイトでフリー配布した作品です。現在は配布しておりません。
おまけの話
こっそり扉の陰に隠れて二人の様子を覗いて昌浩は小声でもっくんに尋ねた。
「ねぇもっくん。俺達いつになったら中に入れるのかな?」
「……オレに聞かれてもな〜〜」
もっくんは困ったような声を上げて唸った。それに昌浩と一緒に二人の様子を覗いて太陰はわめいた。
「ねぇ、そんなことよりも早く何とかしないとクリスマス終わっちゃうじゃない!!」
「うむ。本当に早くしないと終わってしまうな」
太陰の声に玄武もこくり、と頷き同意を示した。そのことに気づいた昌浩も同じように頷いた。
「何とかって言われてもな……」
「騰蛇、何とかしてやったらどうだ?」
悩むもっくんにそれまで黙って事の成り行きを見ていた勾陳が口を挿んだ。
「……そう言うのだったら勾、お前が何とかしたらどうだ?」
「騰蛇、私がを悲しませるようなことをすると思うか?」
「それは……ないな」
勾陳の言葉にもっくんは脱力したように肩をすくめた。しかし次の勾陳の言葉にもっくんはさらに肩を落とした。
「というわけだ。騰蛇、あの二人を何とかしてこい」
「……冗談じゃない。オレは馬に蹴られるのはごめんだ――」
さすがの勾陳もこれには何も言えなかった。
その後、が昌浩たちに気づくまでずっとこのままだったそうだ――。
終