ドリーム小説
プレゼント
これはまだ藍家の双子の姫君、とが幼い頃の話――。
プレゼント 長編「紫宮の双姫−しきゅうのそうき−」の番外編
雪の降る寒い夜――。
藍家の令息・楸瑛と龍蓮は、妹たちを喜ばせようと珍しく二人揃って妹たちの部屋に来ていた。
とは仲良く寝台に、楸瑛と龍蓮はどこからか持ってきた椅子に腰を下ろしていた。
「兄様?急にどうしたのですか?」
「何かありましたの?」
突然部屋に尋ねてきた兄達を不思議に思った姫たちはそれぞれ尋ねた。不思議そうな顔で尋ねてくる妹たちを見て楸瑛は微笑んだ。
「今日は二人にとても楽しいお話をしてあげようと思ってね」
「「お話?」」
「とても楽しい話だ」
二人揃って首を傾げて尋ね返した。その姿を見て楸瑛と龍蓮は、可愛いな〜〜などと妹バカ丸出しのことを考えつつ、笑みを浮かべたまま頷いた。
「二人は『クリスマス』というものを知っているかい?」
「いいえ、知りませんわ」
「兄様、その『クリスマス』というものは何ですの?」
興味津々といった様子で聞いてくる妹たちに楸瑛は苦笑いを浮かべながら話を進めた。
「何でも『クリスマス』というのは何とかという人物の誕生を祝う異国の行事なのだそうだ。
その日になると『サンタ』という老人が、いい子にしていた子供たちのもとにプレゼントを届けてくれるそうだ」
「ようするに皆で楽しく騒ぐ宴のようなものだ!!」
説明する楸瑛に龍蓮が付け足すように言った。頓珍漢なことを話し出した龍蓮に楸瑛は呆れたような声で否定をした。
「龍蓮、それは少し違うと思うが?」
「何を言う、愚兄其の四。私は間違ったことなど言ってはいないぞ。
わかりやすく説明しただけだ」
楸瑛の言葉を無視して龍蓮は自分が正しいとばかりの勢いで話す。その様子に楸瑛はため息を吐くしかなかった。
一方姫君たちはというと、兄たちの言い合いは今に始まったことではないので大人しく二人の言い合いが終わるまで待っていた。
一通り言い合いが終わったのか、静かになったところでが兄たちに尋ねた。
「私たちのところにも『サンタ』さんは来てくれますの?」
「プレゼントを貰えますの?」
目を輝かせて尋ねてくるとに、楸瑛と龍蓮は先程の言い合いのことなどふっとんでしまった。それ程素直に尋ねてくる妹たちが可愛くてしかたがなかったのだ。
カタン、と音をさせて立ち上がり、の隣に腰を下ろした楸瑛は笑みを浮かべながら答えた。
「あぁ、必ず来てくれるよ。いい子にしていればね」
「本当に?」
「本当に」
その言葉を聞いたは嬉しそうに微笑んだ。楸瑛も笑みを浮かべたままの頭を優しく撫でていた。
楸瑛と同じようにの隣に腰を下ろしていた龍蓮も笑みを浮かべて答えた。
「もちろんのところにも来てくれるぞ」
「本当に?」
「本当だ」
と同じように尋ね返すを、楸瑛と龍蓮は苦笑いを浮かべて見つめていた。それを聞いた双子の姫君たちは互いに見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
その様子を見ていた楸瑛と龍蓮の妹バカ二人はそれぞれ似たようなことを考えていた。
(やっぱり家の妹たちは可愛いな〜〜。他の男にはやりたくないな。
こうなったらいっそのことどこかに閉じ込めておくか?
いやそれではあまりにも可哀相か、どうしたものか……)
(我が妹たちは国一番、いや世界で一番可愛い!!
将来この愚兄其の四のような女性ばかりを追いかけている男に目をつけられたら……心配だ。
こうなったら私の目の届くところに置いておくべきか?
しかしそれでは妹たちの自由がなくなってしまう、困ったものだ)
何だか一歩間違えば犯罪のようなことを考えている。もしこの場に他の人がいたならば即座に止めるだろう。いや、止めなければならない。
「さあ、もうそろそろ休みなさい。
いい子にしてないと『サンタ』さんが来てくれないかもしれないぞ?」
「「それは困ります!!」」
楸瑛が何かを企むかのような顔のまま笑みを浮かべた。楸瑛の言葉に二人の姫君は慌てて声を上げた。
「それならば早く休みなさい」
「「は〜〜い」」
声を揃えて元気に答えた。そしてそれぞれに抱きついて挨拶をすると寝台へと潜り込んだ。
「お休みなさい、楸瑛兄様――」
「お休みなさい、龍蓮兄様――」
「「お休み、、――」」
妹たちの部屋を後にした楸瑛と龍蓮はどちらともなく顔を合わせた。
「龍蓮……」
「何だ?愚兄其の四……」
たったそれだけのことだったが、お互いが何を言おうとしているのがわかった。こんなところはさすが兄弟と言うべきだろうか。
普段はまったくもって合わない二人だが、妹たちのことになるとそれは絶妙な力を発揮する。ようするにただの妹バカなだけなのだが……。
二人はあるものを用意するために歩き出した。
辺りがシン、と静まり返った深夜――。
楸瑛と龍蓮はそっ、と妹たちの部屋の扉を開けた。中を覗くと二人とも安らかな寝息を立てて眠っている。
それを確認した二人はスルリ、と部屋の中に入っていった。寝台に近づくと、妹たちが可愛らしい顔をして眠っている姿がはっきりと見えた。
あまりの可愛さに二人は頬の筋肉が緩むのを感じた。
「可愛い顔をして、よく眠っている」
「愚兄其の四、あまり大きな声を出すな。とが起きてしまうではないか」
「わかっているさ」
二人はそれぞれ持ってきたクリスマスプレゼントをそっ、と姫君たちの枕元に置いた。軽く妹たちの頭を撫でてから二人はその場を離れた。
目を覚ました妹たちがいったいどんな顔をするか、そんなことを考えつつ二人はそれぞれ自室へと戻って行った。
翌日――。
目を覚ました姫君たちは枕元に置かれていたプレゼントを発見して驚いた。二人揃って『サンタ』さんからプレゼントを貰えたことをおおいに喜んでいた。
その様子を物陰からそっ、と見ていた妹バカ二人は密かに喜んでいたとか――。
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クリスマス企画第二弾の彩雲国夢「プレゼント」をお届けです。
今回は長編「紫宮の双姫−しきゅうのそうき−」のヒロインたちが幼い頃のお話です。
ほんのり心温まるお話のつもりで書いていたのですが……あ、あれ?
何だか楸瑛と龍蓮の妹バカのところしか書いていないような……。(汗)
それはそれとして楽しんでいただければ幸いです。
それにしても苦労したのは初登場の龍蓮です。龍蓮の口調が難しいのですよ。
このセリフはどんな風にしゃべらせたらよいかとか、ここではいったい何て言うのだろうとか、どうしたら龍蓮っぽくなるのか考えました。
結局うまく書けていないような……。
龍蓮をうまく書ける方は本当に尊敬します。
この方嫌いではないのですが、独特な方なので。(笑)
それでは駄作ですが、皆様にお贈りいたします。
2004.12.19 「彩月華」管理人 水原 琳
*前サイトでフリー配布した作品です。現在は配布しておりません。
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